安田理央の日本風俗私史<夜遊昭和レトロ巡り>第5回 池袋・歌舞伎町・渋谷に風俗店が乱立し競争が激化

アダルトメディア研究家安田理央が風俗の歴史と自分史を振り返るシリーズ。少し昭和もあったり平成メインで令和もあったりなかったり⁉ 第五回は池袋・歌舞伎町・渋谷に風俗店が乱立し競争が激化について。最終兵器AFの登場など、目まぐるしく変わる平成風俗

安田理央の日本風俗私史<夜遊昭和レトロ巡り>第5回 池袋・歌舞伎町・渋谷に風俗店が乱立し競争が激化

目次
  1. 繁華街に風俗店が乱立し競争が激化
  2. サービスの過激化の末、登場したAF
  3. 目まぐるしく変わる平成風俗
90年代後半池袋、新宿歌舞伎町、渋谷などの繁華街で店舗を構えての営業が主流に。そのため生存競争は熾烈となり、料金の値下げ合戦、そしてサービスの過激化が進みました。 新しい動きが次々と起こり、ちょっとでも目を離したら、置いていかれてしまいそうな勢いのあった平成風俗ブーム

繁華街に風俗店が乱立し競争が激化

90年代後半に入ると、平成風俗ブームはさらに過熱していきました。それまでイメージクラブや性感ヘルスなどの新しいタイプの平成風俗店は、マンションの一室で看板も出さずにひっそりと営業することが多かったのですが、この頃になると池袋、新宿歌舞伎町、渋谷などの繁華街で店舗を構えて営業するようになっていました。毎月、何店もの店が新規オープンし、その数は飛躍的に増えていったのです。全てのフロアに風俗店が入っているような風俗ビルも次々と生まれました。
 そうなると店舗数の急増により、生存競争は熾烈となり、料金の値下げ合戦、そしてサービスの過激化が進みました。
 前者では30分6千円以下、さらには3900円からという破格値の店が出現して、話題を呼びます。もっとも、午前中の1時間のみという限られた時間帯での料金でしたが……。
 そして後者ではアナルファック(以下AF)という最終兵器が登場します。
 平成風俗の起爆剤となった素股プレイは、法律で本番が禁じられているゆえに生み出されたテクニックでしたが、肛門挿入もまた「本番ではない」という理由で、SMクラブなどでは以前から定番のオプションとなっていました。ただ、基本の料金が高いSMクラブでAFを体験しようとすれば、総額で4万円以上になります。ソープランドやホテトルで本番が楽しめる金額です。しかし、AFは通常のセックスよりも「特殊」なプレイであるため、高いのも当然なわけです。
 ところが、この時期にAFを売りにした性感ヘルス店は低価格を打ち出していたのです。
 1996年の風俗誌のAF店特集を見てみると40分18000円からという店がいくつもあります。つまりソープランドよりも安いのです。AFというタブーを体験できて、しかもセックス以下の料金だというネジレ現象が起きていたのです。
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サービスの過激化の末、登場したAF

 この時期には僕もずいぶんAFの体験取材をやりました。みんなさすがに慣れているようで、びっくりするほどスムーズに挿入できちゃうんですよ。もちろんたっぷりローションをつけるんですけど、騎乗位で跨ってスルリと入っちゃう。
 こちらの感触としては、確かに締め付けはすごいんですけど、前に比べると単調というか、キツイだけという感じ。基本的に肛門とは入口の部分だけが締めつけているわけですからね。なので、個人的にはAFって、「本来は入れてはいけないところに入れてる!」というタブー感を味わうものなのではないかと思います。
 ただ、一度だけSMクラブで「アナル名器」というべきM女に会ったことがありました。彼女の肛門は、入口だけじゃなく、奥の方までも締めつけてくるんですよ。締め付ける部分が広いわけです。これは肛門括約筋が発達しているということなのでしょうか。あれは本当に気持ちよかったなぁ(笑)。
 あと思い出すのが、AF店で働いているのに前は処女という女の子。これも体験取材だったんですが、プレイの前にインタビューをしていて、AF嬢への定番質問である「アナルに初めて入れた時って、前の処女喪失の時より痛かった?」と聞いたら、「私、前は経験ないんです」と言うんですよ。
 処女のままでヘルスなどで働いているという子はたまにいるんですけど、お店でAFやってるのに処女というのは初めてでした。お店の人もそんなこと言ってなかったし……。
 聞いてみると、特にお店の人には処女だということは話していなかったとのこと。
「だって処女かどうかなんて聞かれなかったんですよ」
 いや、AF店に処女が来るなんて、お店の人も考えていなかったんでしょう。
 まぁ、それからその子とAFプレイをしたわけです。処女とAF、なんて考えるとすごくエロい気がするんですが、この子が全然エロくないタイプで、何をしてもうんともすんとも反応しないんですよ。ある意味で処女っぽいとも言えるんですが(笑)。なので、全然楽しくなかったのでした。それも含めて印象深い体験ではありました。

取材撮影中の筆者

目まぐるしく変わる平成風俗

 AF以外でも、巨乳の子ばかりの店や顔射が出来る店、パンスト破り放題(笑)の店、ビルの屋上のテントでプレイできる店など各店が色々と趣向を凝らした特色を競っていました。ソープランドでおなじみのマットプレイを売りにした性感ヘルスもこの頃急増しましたね。
 その後に人気を集めるM性感は、まだ鶯谷などのマニアックなエリアが中心でしたが、ライトな痴女プレイや、赤ちゃん扱いしてくれる幼児プレイが出来る店は少しづつ目立ってきていました。
 新しい動きが次々と起こり、ちょっとでも目を離したら、置いていかれてしまいそうな勢いが、この頃の風俗業界にはあったのです。駆け出しの風俗ライターであった僕は、その動きになんとかついていこうと必死になっていました。

AF嬢

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安田理央

取材者 安田理央

1967年生まれ。フリーライター、アダルトメディア研究家。1987年よりアダルト関係の原稿を書き始める。主な著書に「痴女の誕生」「巨乳の誕生」「日本エロ本全史」(以上 太田出版)「AV女優、のち」(角川新書)など。「たちまち はだかの業界物語」(画:前川かずお 日本文芸社)では漫画原作も。

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