安田理央の日本風俗私史<夜遊昭和レトロ巡り>第2回イメクラと性感が誕生し爆発的人気に!
アダルトメディア研究家安田理央が風俗の歴史と自分史を振り返るシリーズ。少し昭和もあったり平成メインで令和もあったりなかったり⁉ 第二回はイメージクラブと性感マッサージが誕生し爆発的な人気を獲得するまでです。
世界共通語の「コスプレ」に「ストーリー」を加えた【イメージクラブ】、そして前立腺を刺激する【性感マッサージ】と現在に繋がる風俗遊びを確立していった平成初期の“あの頃”を振り返ります。夕刊紙を広げ文字情報を頼りに会社の同僚や先輩と突入していた思い出が…
新しい風俗ジャンルの誕生!
新風営法が施行された80年代後半の風俗業界での大きな動きと言えば、エイズパニックでしょう。1987年に日本人女性で初めてのエイズ患者が発生したことが報じられ、それが風俗嬢だったという噂が広がり、ソープランドが大打撃を受けるという事件が起こります。
そのためにファッションヘルスなどの非本番風俗に客が流れ、盛り上がりを見せるという流れもありました。
テレホンクラブや伝言ダイヤルなど、出会い系の走りとなる新しいメディアが生まれたのもこの頃です。
そしてもうひとつの新しい風俗が密かに広がり始めていました。それがイメージクラブや性感マッサージ店と言われるジャンルの店です。
そのためにファッションヘルスなどの非本番風俗に客が流れ、盛り上がりを見せるという流れもありました。
テレホンクラブや伝言ダイヤルなど、出会い系の走りとなる新しいメディアが生まれたのもこの頃です。
そしてもうひとつの新しい風俗が密かに広がり始めていました。それがイメージクラブや性感マッサージ店と言われるジャンルの店です。
「ごっこプレイ」のイメクラが人気を集める
イメージクラブの発祥は、80年代半ばに鶯谷のマンションの一室で始まったとある特殊なプレイを売りにした店だと言われています。
それはアイマスクをしたパジャマ姿の女性が寝ているのを客が脱がしたり触ったりするというものでした。ずっと眠っているふりをしているため女性からのサービスは無く、客は勝手にオナニーをするだけです。
川端康成の「眠れる美女」や谷崎潤一郎の「鍵」からヒントを得たというこのプレイが、少しづつ進化していき、イメージクラブと呼ばれる風俗になったのです。
同じ頃、歌舞伎町で「秘書付きレンタルオフィス」をうたった店も生まれています。オフィス風の部屋で、秘書ルックの女性とプレイできるという風俗です。
もともとソープランド(トルコ風呂)などでも、スチュワーデスなどの衣装のある店もありましたから、日本の風俗は古くからコスプレの要素はあったのですが、「ごっこプレイ」を中心とした風俗がこの時期に少しづつ広まっていったのです。
それはアイマスクをしたパジャマ姿の女性が寝ているのを客が脱がしたり触ったりするというものでした。ずっと眠っているふりをしているため女性からのサービスは無く、客は勝手にオナニーをするだけです。
川端康成の「眠れる美女」や谷崎潤一郎の「鍵」からヒントを得たというこのプレイが、少しづつ進化していき、イメージクラブと呼ばれる風俗になったのです。
同じ頃、歌舞伎町で「秘書付きレンタルオフィス」をうたった店も生まれています。オフィス風の部屋で、秘書ルックの女性とプレイできるという風俗です。
もともとソープランド(トルコ風呂)などでも、スチュワーデスなどの衣装のある店もありましたから、日本の風俗は古くからコスプレの要素はあったのですが、「ごっこプレイ」を中心とした風俗がこの時期に少しづつ広まっていったのです。
徐々に性感マッサージも増加しカリスマ風俗嬢も出現
一方、性感マッサージは、当初は不感症の女性のために行われていたと言います。80年代半ばの深夜番組でドクター荒井という人が、そのテクニックを披露して話題になったのを覚えている人もいるのではないでしょうか。
しかし女性向けだけでは客層が広がらないということで、女性のマッサージ師が男性客に施術をするというサービスに変わっていきます。そしてその過程で、肛門に指を挿入し腸内から前立腺を刺激するというプレイが開発されます。今までにない快感を得られるということで、この前立腺マッサージは、密かな人気を得ていきます。
こうした性感マッサージを行う店は、「美療」系とも呼ばれました。「◯◯美療」といった店名が多かったためです。
女性は白衣姿でビニール手袋をした指を、診療台の上で四つん這いになった男性客の肛門に挿入して前立腺を刺激します。女性は最後まで白衣を脱がず、客からタッチすることもできません。それまでの風俗とは全く違うスタイルで、どちらかというとSMクラブの女王様に近いかもしれません。実際、客はM気質の強い人が多かったようです。
その後、美療から派生する形で、女性が男性を指と淫語でイカせるという性感店が生まれます。こちらも女性は網タイツやボンデージなどの女王様っぽいスタイルで、最後まで脱がずに客からのタッチは不可。よりSMの女王様に近い感じです。
こうした性感店の代表的な存在が池袋で営業していた『乱コーポレーション』です。このお店に所属していた南智子という女性は、代々木忠監督のAV『性感Xテクニック』(アテナ映像)などに出演し、一躍脚光を浴び、そしてそれまでアンダーグラウンドな存在であった「性感」店というジャンルも注目されるようになったのです。
実は筆者も『性感Xテクニック』を観て、感動して『乱コーポレーション』に足を運んだ一人でした(笑)。
しかし女性向けだけでは客層が広がらないということで、女性のマッサージ師が男性客に施術をするというサービスに変わっていきます。そしてその過程で、肛門に指を挿入し腸内から前立腺を刺激するというプレイが開発されます。今までにない快感を得られるということで、この前立腺マッサージは、密かな人気を得ていきます。
こうした性感マッサージを行う店は、「美療」系とも呼ばれました。「◯◯美療」といった店名が多かったためです。
女性は白衣姿でビニール手袋をした指を、診療台の上で四つん這いになった男性客の肛門に挿入して前立腺を刺激します。女性は最後まで白衣を脱がず、客からタッチすることもできません。それまでの風俗とは全く違うスタイルで、どちらかというとSMクラブの女王様に近いかもしれません。実際、客はM気質の強い人が多かったようです。
その後、美療から派生する形で、女性が男性を指と淫語でイカせるという性感店が生まれます。こちらも女性は網タイツやボンデージなどの女王様っぽいスタイルで、最後まで脱がずに客からのタッチは不可。よりSMの女王様に近い感じです。
こうした性感店の代表的な存在が池袋で営業していた『乱コーポレーション』です。このお店に所属していた南智子という女性は、代々木忠監督のAV『性感Xテクニック』(アテナ映像)などに出演し、一躍脚光を浴び、そしてそれまでアンダーグラウンドな存在であった「性感」店というジャンルも注目されるようになったのです。
実は筆者も『性感Xテクニック』を観て、感動して『乱コーポレーション』に足を運んだ一人でした(笑)。
イメクラと性感が風俗遊びの主流に
イメージクラブも、美療も性感も、雑居ビルやマンションの一室で看板も出さずにひっそりと営業していました。
そのため、店を探すのはスポーツ新聞や夕刊紙の三行広告が頼りでした。
三行広告とは、文字のみの小さなスペースの広告のことで、「池袋」「鶯谷」などの店の場所を示す言葉と、「SM」「未亡人」「前立腺」など、サービスの特色を示す言葉、そして電話番号が横2センチ縦5センチほどの囲みの中にギュッと詰め込まれています。店名すら書かれていないことも珍しくありません。
客はその暗号のような文字から店のサービスを想像して、電話をかけるのです。見るからに怪しい広告なのですが、意外にぼったくりなどの危険な店はなかったように思います。
ドキドキしながら電話をかけると、場所を教えられます。駅から少し離れたマンションや雑居ビルの一室に向かい、インターホンを押す瞬間の緊張感! なにか宝探しをしているような面白さもあり、筆者も一時期はこの三行広告風俗にハマってしまいました。
実は、こうした風俗店は、風営法の許可を取っていませんでした。いちおう「趣味の同好会」的な言い訳をしていたため、別途入会金を取る店もありました。
つまり違法なモグリ営業だったわけですが、こうした三行広告風俗の中から、イメージクラブと性感が、90年代の風俗のメインストリームになっていくのです。
そのため、店を探すのはスポーツ新聞や夕刊紙の三行広告が頼りでした。
三行広告とは、文字のみの小さなスペースの広告のことで、「池袋」「鶯谷」などの店の場所を示す言葉と、「SM」「未亡人」「前立腺」など、サービスの特色を示す言葉、そして電話番号が横2センチ縦5センチほどの囲みの中にギュッと詰め込まれています。店名すら書かれていないことも珍しくありません。
客はその暗号のような文字から店のサービスを想像して、電話をかけるのです。見るからに怪しい広告なのですが、意外にぼったくりなどの危険な店はなかったように思います。
ドキドキしながら電話をかけると、場所を教えられます。駅から少し離れたマンションや雑居ビルの一室に向かい、インターホンを押す瞬間の緊張感! なにか宝探しをしているような面白さもあり、筆者も一時期はこの三行広告風俗にハマってしまいました。
実は、こうした風俗店は、風営法の許可を取っていませんでした。いちおう「趣味の同好会」的な言い訳をしていたため、別途入会金を取る店もありました。
つまり違法なモグリ営業だったわけですが、こうした三行広告風俗の中から、イメージクラブと性感が、90年代の風俗のメインストリームになっていくのです。
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取材者 安田理央
1967年生まれ。フリーライター、アダルトメディア研究家。1987年よりアダルト関係の原稿を書き始める。主な著書に「痴女の誕生」「巨乳の誕生」「日本エロ本全史」(以上 太田出版)「AV女優、のち」(角川新書)など。「たちまち はだかの業界物語」(画:前川かずお 日本文芸社)では漫画原作も。